

マルクス・アウレーリウス 『自省録』 を読む
古代ローマの哲学者皇帝マルクス・アウレーリウスの哲学的な日誌である『自省録』は、筆者の学生時代以来
変わることのない座右の書でしたが、これまでまだ本格的に講義したことがありませんでした。今、日本が「国
難」といってもまったく大げさでない厳しい状況に置かれ、現実否認をし続けるのでないかぎり、もはや「ネアカ・
ルンルン」はもちろん「終わりなき日常をまったりと生きる」ことさえ不可能になり、人間が宇宙の中で宇宙の一
部として存在するという根底的な自覚を基に覚悟をもって真摯に生き死にするほかない―そういう人生哲学の
あり方を「ストイック=ストア派的」と言います―という時代になっている中で、もっとも学びなおすにふさわしい古
典ではないかと考え、みなさんと共有するための講義を行なうことにしました。
ご一緒に自分の人生哲学を深めていきましょう。
テキスト:マルクス・アウレーリウス『自省録』(神谷美恵子訳、岩波文庫)
▼オープンカレッジ35期講座/11年4月〜7月/全6回/収録10時間28分
CD 会員12,000円 一般15,000円 DVD 会員18,000円 一般21,000円
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こころを磨く四つの方法――道元禅師『正法眼蔵・菩提薩・四摂法』を学ぶ
『正法眼蔵』は、曹洞宗の祖・道元禅師(一二〇〇―一二五三)の主著で、「正しい真理の教えの眼すなわち
精髄の蔵」を意味し、曹洞宗門の聖典であることはいうまでもありませんが、だれにでも通じる人生の真理を語
った思想書としても広く知られています。
前々回の講座で伝記と『正法眼蔵』のポイントを、前回は禅師の死生観が表現された「全機」の巻を学び、学
びを一歩ずつ深めていますが、今回は少し趣を変えて、仏教を学んでいる人が初歩からできる四つの方法を述
べた巻を学びますので、まったくの初心の方にもわかりやすいと思います。
今回取り上げる「菩提薩?四摂法」の巻は、五十三年の生涯の後期、京を離れ越前の山中に入った翌年四十
四歳の著作であり、珍しく、道元禅師に特徴的なきわめて深く難解な哲学的な思索ではなく、布施(施しをす
る)、愛語(やさしい言葉をかける)、利行(他を利する)、同時(他者と一つになる)という、ある意味でとても単純
明快な四つの実践法について述べられたものです。なかでも「愛語」は良寛さまが好きだったことで知られてい
ます。もちろん一見やさしい表現のなかには深い意味が込められています。みなさんとご一緒に、その意味をよ
く理解し、さらにじっくりと味わうという学びができるといいと思っています。
▼龍国寺仏教講座第10回/10年11月/収録三時間二六分
CD 会員4,000円 一般5,000円 DVD 会員7,000円 一般8,500円
よく生きよく死ぬために――道元禅師『正法眼蔵・全機』を学ぶ
『正法眼蔵』は、曹洞宗の祖・道元禅師(一二〇〇―一二五三)の主著で、「正しい真理の教えの眼すなわち
精髄の蔵」を意味し、曹洞宗門の聖典であることはいうまでもありませんが、深く普遍的な真理を語った哲学書
としても広く知られています。
前回の講座でおおまかな伝記と『正法眼蔵』のポイントを学び、『正法眼蔵』の入口にまで到達すること、まさに
入門を目指しましたが、今回はもう一歩踏み込んでいきたいと思います(といっても初心の方にもわかりやすくお
話をしたいと思っていますが)。
今回取り上げる「全機」の巻は、五十三年の生涯の後期、京を離れ越前の山中に入る前年四十二歳の著作で
あり、非常に円熟した境地が語られている名編です。京都の六波羅蜜寺のそばの波多野義重邸で行なわれた
説法であり、戦いに際し生きるか死ぬかという瀬戸際に立たされる武士たちに生と死をどう捉えどう覚悟を決め
るかを語ったものです。現代の私たちは鎌倉期の武士たちほど常時きびしい状況にはいないかもしれません
が、時にやはりどう生きどう死ぬか胆をすえなければならないこともあります。そういう意味で、道元禅師の教え
は私たちにとっても深い示唆を与えてくれるものだと思います。
テキスト:「正法眼蔵・全機」「正法眼蔵・生死」
参考文献:岡野守也著『道元のコスモロジー―『正法眼蔵』の核心』大法輪閣
▼龍国寺仏教講座第9回/09年10月/収録3時間30分
CD 会員4,000円 一般5,000円 DVD 会員7,000円 一般8,500円
道元禅師は何を伝えたか――『正法眼蔵』入門
すでによく知られているとおり、道元禅師(一二〇〇―一二五三)は、鎌倉時代の禅僧であり、曹洞宗の開祖
です。栄西(臨済宗)、法然(浄土宗)、親鸞(浄土真宗)、日蓮(日蓮宗)、一遍(時宗)と並んで「鎌倉仏教」の代
表的な存在とされます。
禅師は、当時の比叡山天台宗を代表とする日本仏教の状況に納得することができず、あえて大変な困難をお
かして中国(宋)に行き、厳しい修行の末、仏教のもっとも正統な真理つまり「正法」を覚って帰国し、以後その
正法を日本に根付かせるために生涯を奉げました。
一生を通じて書き続けられた主著である『正法眼蔵』(約九十五巻)のタイトルには、仏教のもっとも正統な真
理・教えの眼つまり精髄の蔵ともいうべき書物であるという意味が籠められています。いわゆる覚り(「悟り」とも
表記する)とはどういうことか、正法とはどういうことか、言葉にすることがきわめて困難な事柄をあえて様々な
美しい言葉で縦横無尽に表現した名著です。
本講座では、道元禅師がなぜあえて苦労をいとわず中国まで行き、何を得て帰り、生涯を費やして何を教え
たのか、おおまかな伝記と『正法眼蔵』の主な巻―特に初期の巻―のポイントを学び、『正法眼蔵』の入口にま
で到達すること、まさに入門を目指したいと思います。
難解な書物ではありますが、できるだけどなたにでも、そこに語られていることが現代に生きる自分にとってど
んな意味があるのかを理解していただけるよう、解きほぐして講義したいと思っています。
テキスト:「日本精神史の四つの高峰について(下)―すてきなわが祖国・日本を再発見しよう」(『サングラハ』
六七号所収)
参考文献:岡野守也著『道元のコスモロジー―『正法眼蔵』の核心』大法輪閣
▼龍国寺仏教講座第8回/09年9月/収録3時間25分
CD 会員4,000円 一般5,000円 DVD 会員7,000円 一般8,500円
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(c) samgraha サングラハ教育・心理研究所
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