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講座目録の更新について
新刊『「金剛般若経」全講義』(岡野守也著)
研究所主幹・岡野守也による新刊『「金剛般若経」全講義』が刊行されました。研究所会報の連載をもとにした、大乗仏教のエッセンスを語るかつてない全文講読の書籍化です。ぜひご購読ください。
釈迦(ブッダ)と十大弟子のひとり・須菩提(スブーティ)との会話に学ぶ、「空」の思想、「菩薩」の生き方…正しい覚り、深い安らぎの境地への道。 「どんなに強固な悩みも根っこからすっぱり断ち切ってしまうことのできるダイヤモンドのような心のコントロールの智慧と方法」を説く『わかる金剛般若経』
『金剛般若経』は、本文でも触れたが、いわば「空(くう)」という言葉を使わないで空を説いた大乗仏教の経典である。本書は、現在一般に入手可能な『金剛般若経』の全文講義としては、筆者の知る限り唯一のものである。
「空」という言葉を知らない日本人はいないだろう。だが、大乗仏教の中核的なコンセプトとしての「空」の意味が分かっている人は、どのくらいいるのだろうか。かつての筆者がそうだったように、わかりたいと思いながら、なかなかちゃんとわからせてくれる本や人に出会えていない方が多いのではないだろうか。
…
『金剛般若経』そして空がわかると、覚るというところまで行かなくても、かなり心が軽くなる。軽くなるだけでなく、心がしっかりと落ち着いてくるはずである。
今、日本人の精神的なアイデンティティの基礎であった神仏儒習合(神・仏・天地自然・祖霊をほぼおなじものと思うような日本的心性(メンテリティ))の中核である大乗仏教の、さらに中核にある空・智慧と慈悲という思想がわかるということは、日本人としての自分のアイデンティティの再発見・再確立の確かな基礎になるはずである。アイデンティティが確立すると、言うまでもなく心が落ち着くのである。
(「あとがき」より)
岡野守也著
大法輪閣
http://www.daihorin-kaku.com/book/b251681.html
本体2,500円+税
2016/10/15発行
新聞記事『宗教と科学 共通の視点』(研究所主幹インタビュー)
8月13日付け『山梨日日新聞』に岡野研究所主幹へのインタビュー記事が掲載されました。当研究所の提供しているコスモロジー/コスモス・セラピーが、一般向けによくこなしてまとめられていると思われます。
なお、本記事は先の「夏のコスモス・セラピー ワークショップ」(於・山梨県北杜市)の日程中に記者さんの取材があったものです。取材の状況は前の記事をご参照ください。
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宗教と科学 共通の視点
目に見えぬ大きな存在を感じる宗教性と、目に見える物質を細分化し、分析する科学の営み。両者は一見、相反するように見える。このほど北杜市白州町でセミナーを開いた仏教心理学者岡野守也さん(68)=香川県=は、宗教と現代科学には、物質世界を包括的に受け止めようとする、共通の視点があるという考えを堤示する。
岡野さんは1947年広島県生まれ。関東学院大大学院で神学を学び、修了後、牧師の道ヘ。キリスト教の教義を信仰のよりどころにしたが、創世記や処女懐胎、復活など、自然科学では説明がつかない神話的世界観を受容しきれなかった。
だが「宗教性」は、教義や教祖、宗教団体などの枠を超え、普遍的に存在すると感じていた。「漠然と感じる大いなる存在にイエス・キリストやアラー、大日如来、どんな名前を付けようと、本質には宗教性がある。特定の教団、教義を信じることは狭い意味での宗教。個人を超えた大いなるものを感じる心性が宗教性だ」
約10年間牧師を務め、編集者を経て法政大、武蔵野大などで宗教学の講師となった。多様な分野から世界を知りたいと、科学分野にも関心を広げた。「デカルト以降、物質を原子レベルまでばらばらに解体し、客観的に分析する近代科学の考え方が主流になった。神話的な宗教は揺らぎ、唯物的な見方が浸透した」という。
一方、この100年間 アインシュタインらに代表される「現代科学」は、「世界は突き詰めるとエネルギーだと捉えた」。「生き物を解剖するように、一つの物体を突き詰めて分析する近代科学と、エネルギーのまとまりとして世界を統合的に考えようとする現代科学の世界像は異なる」という。
岡野さんは「世界のつながりと一体性を語る科学」と、「個人」を超えて世界を包括する存在を感じる「宗教」の考え方の構造は「非常に似ている」という。
「世界を物質に還元し続けた結果、宗教性は消え、神は存在しないというニヒリズムと、どうせ死ぬなら楽しみたいという快楽主義、エゴイズムが浸透した」。宗教や現代科学のように「つながりの中でものを考える在り方にも目を向ける必要がある」と話す。
〈戸松優〉
報告:ダライ・ラマ法王と科学者との対話―宇宙・生命・教育
(研究所主幹のブログより転載)
17日、ダライラマ法王と科学者の対話「宇宙・生命・教育」にパネリストとして参加してきました。 (主催 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所(チベットハウス・ジャパン))
「コスモス・セラピーは現代の方便たりうるか」というタイトルでコスモス・セラピーのエッセンス、仏教と現代科学のコスモロジーと臨床心理学の融合の可能性やその意味について、15分でしたが、それなりにうまくまとめて語ることができたと思います。
法王は、ビッグバン宇宙論では始まりがあるのに対して仏教では始まりはないことになっているという点に、あえて言うとこだわっておられるようで、コスモス・セラピーOKとは言われませんでした。全面否定でもありませんでしたが。
そこのところ、ゴータマ・ブッダ以来、仏教ではすべての教えは方便であるという私の理解からすると、始まりがあるというコスモロジーのほうが、すべてのもののつながり、そして一体性を現代人に伝えやすいのなら、始まりはないという従来の教義・建前をいったん脇に置いても、伝えやすい理論=仮説のほうを採用するというのが仏教本来の戦略であるべきではないか、と突っ込んで議論したいところでしたが、短い時間なのでそこまで行かなかったのが残念でした。
それから、パネリスト全体に「科学と宗教」というポイントについて、呪術的宗教、神話的宗教、哲学的宗教、霊性的宗教という宗教のレベルについての共通認識がないまま話がすれちがっていると思えましたので、その点についてだけは、最後のほうで発言することができました。
ダライラマ法王は、いまさら私が言うまでもありませんが、とても気さくな偉ぶらない慈愛に満ちたお人柄で、こうした方が現代のスピリチュアリティのリーダーとして存在しておられるのは人類にとってとても幸いなことだ、と感じました。
ダライラマの公式サイトでシンポジウムの様子がニュースとして公開されています。関心のある方はご覧下さい。
研究所の香川県への移転について
サングラハ教育・心理研究所は2013年7月に下記住所に移転となりました。
これに伴い、『サングラハ』129号までの表紙に記載されている旧来の藤沢市の住所・連絡先は使われなくなっております。
発送・ご連絡の際はお間違いのないようご注意願います。
(新住所等)
・〒761-2305 香川県綾歌郡綾川町滝宮1125-1
・FAX 087-899-8178
※メールアドレス等には変更はありません。