連載:持続可能な国づくりの条件 9

 

 

そして、基本的に大乗仏教が国教で、ヒンドゥー教を信じている方も一定数いるのですが、大乗仏教徒がだいたい80%ぐらいだったか、あとの20%ぐらいがヒンドゥー教徒です。基本的には大乗仏教が国教で、これは国民の大多数に共有されています。

 

 

その共有度がどのくらいかというと、象徴的には、画像は普通のご家庭の仏壇だそうです。居間でいちばん面積を占めていていちばんお金がかかっているのが仏壇で、いる場所はその半分ぐらいで質素なんです。だけど仏壇はものすごく豪華なんです。そのくらい一般の国民が本格的に仏教を信じている。

特に輪廻ということを信じているので、「私がやがては犬に生まれ変わるかもしれない。蚊に生まれ変わるかもしれない。叩こうとした蚊がご先祖さまだったら困るな」という思いがあって、本気で信じているために生き物をできるだけ殺さないことが徹底的に国民精神になっているようです。

それから、右下象限としては、伝統的な農村共同体がしっかりと残っています。つまり、農業というのは基本的に環境との調和を持続的に保つ必要のある仕事です。50年、100年、200年と農業を続けるためには、「やがて環境が壊れるかもしれなくても当面儲かればいい」というやり方はできないわけです。

 

 

例えば棚田の風景がしっかり残っていて、それが昔の日本を思い出させてくれるので、それが日本人がブータンが好きな理由の一つだと言われています。日本でも、今でもある程度残っているところがありますし、徳島県の上勝町という持続可能なまちづくりで日本的にも世界的にも評価されているところでも、こんな風景を見てきましたが、全体としては、休耕田、少子高齢化、後継者不足、限界集落などの言葉で表現されているように日本の農村は衰退していっていますね。

 

 

上の画像がお城というか砦兼お寺です。ものすごく立派な建物が国中にあって、本当に仏教精神が中心になっているのだなと感じさせられます。これはごく小さいもので、もっと大寺院がたくさんあるようです。

 

 

それから、農村共同体のみなさんの雰囲気が、みんななかなかのんびりと楽しそうで、使っている技術は日本の何十年前かのトラクターみたいな感じですね。

 

 

行かれた方たちが口をそろえて、とにかく子供たちの笑顔がすごく素敵だと言います。

1,2年前に国勢調査がなされた際、「あなたは幸福ですか」という質問項目があり、90%以上の国民が「私は幸せだ」と答えているということで有名です。

指標をどうとるかによって変わってくるのですが、今、おそらく世界でもっとも国民が幸福な国は、先進国ではデンマーク、途上国ではブータンだといわれています。

指標によっては、バヌアツという説もあって、それはほとんど野生に近い生活をしてのんびりしている、だから幸せという話かもしれません。

そういうふうに世界一かどうかは指標の取り方次第ですけれど、ブータンはとにかく国民のほとんどが幸せだと思っているという国のようです。

 

 

イメージとしては、こういう手を合わせるのがごく自然になされています。手の合わせ方が本気という気がしませんか。どうも本気のようで、格好でやっているだけではないみたい。

つまり、大乗仏教精神が国民全体にしっかりと行き渡っていて、農業共同体がしっかり残っているわけです。

 

 

最後に、これは小型の水力発電所なのですが、真ん中のあたりに仏画が描かれているのがおわかりになると思います。水力発電所に仏画を書くというのがブータンです。

つまり伝統を重んじながらゆるやかに近代化する。しかも生きとし生けるものの幸福を侵害しない範囲で、人間がこの辺までは許してもらえるでしょうという利便性の技術は取り入れる。

ブータンは、水が豊富なところでしかも非常に急峻な地形なので、こういうの水力発電で発電した電力をインドに売って利益を得ているようです。

しかし、まだ経済的には非常にインドの援助によっているところが大きくて、完全に自立はしていないようですが、付加価値の高い農業生産物と水力発電などによって、これから自立した国家財政に徐々に移れるだろうという見通しがなされていて、うまくいくのではないかと思えます。