不安から安心への移行

 繰り返すと、当研究所の講座プログラムは、「正しく適度な心配はするが過剰な不安に囚われず、やれることをやって、後は宇宙に任せる(受容)ことのできる心」を育み、危機の時代を生き抜く心備えを確立することを目指しています。

 不安に対処する3つの方法のうち③の「正しく考える」方法としては、論理療法、ロゴセラピー、ポジティブシンキングなど、「大きく正しく考える」方法としてマルクス・アウレーリウスなどのトア哲学、そして唯識ー仏教心理学、さらにそれらを融合したコスモロジー心理学などのプログラムを提供しています。

 こうした方法を適切に組み合わせながら、繰り返し持続的に実行すると、「不安を感じていない時間」が多くなることは確実ですし、究極の理想的モデルとしては、不安も含め悩みが一切ない大安心(だいあんじん)・涅槃・ニルヴァーナの境地に到達できることになっています。

 不安から大安心までは、白黒ではなくいわばグラデーションですが、ともかく瞑想を核とした総合的プログラムに参加していただくことでストレス・不安から安心への大幅な移行が起こることは、参加者の方々へのアンケート調査からも明らかです(まだ第三者による科学的エビデンスがないので、自己宣伝っぽくなるのが残念ですが)。

 実際に体験していただくことに優るものはないのですが(「百聞は一見に如かず」!)、なかなか時間が取れない、おっくうだ、ためらいがある…といった方のためにも、参加していただいた方の反復学習用にも、今後ともできる範囲で公開していきたいと思っていますので、読んで参考にしていただけると幸いです。


*東京土曜講座の「不安の時代の心理学――なぜいまコスモロジー心理学か」は、次回、10月6日の第2回のみの参加も可能です。前回の簡単な復習――シンプルで楽な瞑想を含む――をして先に進みますから、この回のみご参加いただいても、十分、多くのヒントを得ていただけると思います。

瞑想はストレス・不安を緩和する

 最近、アメリカでは、「マインドフルネス瞑想法」が大流行しているようです。

 いまやグーグル、アップル、ヤフー、メルカリ、ゴールドマン・サックス、サンサン、ゼネラル・ミルズ、メドトロニック、エトナなどなど、もっと、多数の優良企業が社員教育に採り入れているというのは、驚きです。

 しかし、日本にとってマインドフルネスはいわば仏教の瞑想法の逆輸入物で、それは以下のとおり創始者のジョン・カバットジン氏もはっきり認めているとおりです。

 「『マインドフルネス瞑想法』というのは、“今”という瞬間に完全に注意を集中するという方法です。これは、仏教における瞑想の中核といわれており、禅宗を初めとして、そのほかの仏教宗派でも非常に重んじられているものです。しかし、仏陀も強調しているように、『マインドフルネス瞑想法』は、仏教と以外の人が普通の生活に広く応用できる普遍性を備えているものです。私は、多くのアメリカ人が、新しい生活や新しい生き方をめざし、この古くから実践されてきた『マインドフルネス瞑想法』をとり入れ、それが肉体的にも精神的にもたいへん役だっていることを、日本の方々にも是非お知らせしておきたいと思います。」(春木豊訳『マインドフルネス ストレス低減法』「日本の読者のみなさんへ」ⅵ、北大路書房)

 とはいっても、もちろん伝統的なかたちそのままではなく、「マインドフルネスストレス低減法は、東洋思想や技法をベースにしているのであるが、それをカバットジンはプログラム化して分かりやすくしていることである」と訳者の春木先生は言っておられます(同書ⅲ)

 筆者が学んでいる範囲で言うと、

 ①仏教の特定宗派の教義は説かず、心を調えるうえで妥当・有効な洞察だけを採り入れている、
 ②結跏趺坐にこだわらず、より楽な坐り方やイスでもできるように工夫している、
 ③体のリラックス法としてヨーガもそうとうに採り入れている、
 ④それらの全体がプログラム化されており、その臨床効果が医学的・科学的に検討―確認されてきている、

といったところが大きな特徴だと思われます。

 中でも、たくみなプログラム化と臨床効果の科学的実証については、長年いわば本家の禅のかたちで実践してきた筆者も脱帽です。

 それから、臨床効果の科学的なエビデンスを学んだ結果、坐禅・瞑想の姿勢は「結跏趺坐でなければならない」という一種の原理主義を、少なくともストレス緩和の方法という点に関しては大幅にゆるめることにしました。

 そこで、すでに研究所の講座では、かなりゆるやかにやっていただくようご指導してきましたが、結跏趺坐や半跏趺坐でも足の痛み・しびれでつらい方には、より楽な坐り方やイスでもできる瞑想法として、より積極的に「マインドフルネス的瞑想法」――こちらがいわば本家なわけですが「マインドフルネス瞑想法」としてまとめ上げたのはカバットジン氏ですから、敬意を表して少し呼び方を変えることにしました――も使っていこうと思っています。

 いずれにせよ、坐禅、マインドフルネス瞑想法、ヨーガの瞑想法、ヴィパッサナー瞑想法、チベット仏教の瞑想法などの瞑想どれもが、ストレス・不安の緩和に顕著な効果があることは、もう議論の余地はないようです。

 あと、ストレス・不安の緩和法としてどれを選択するかは、自分との相性の問題なのかもしれません。

考えなければ不安はない

 考えるのなら、腰を据えて考え抜く。

 いい考えが浮かばないのなら、一度徹底的に頭を空っぽにしてみる。

 考えなければ、ストレスは感じない、不安にも鬱にもならない。

 俗な言い方をすれば、「バカは悩まない」のである。「バカはへこたれない」「バカほど打たれ強い」。

 では、いったん意図的にバカになってしまってはどうだろう。 


 以下の『大般若経』(初分教誡教授品第七之二十六)の言葉も、とても格調の高い言い方をしているが、要するにそういうことを言っているのだと思われる。

 スブーティよ、覚りを求める者・志の大きな者が智慧を完成する行を修行する時には、すべてのことについて認識しないようにする(何も考えない)。すべてのことについて認識しない時には、その心は衝撃を受けるとか恐怖を感じるとか不安におののくといったことはない。すべてのことにかかわって心が沈み込んでしまうことも、またくよくよと鬱になることもない。

 善現、是の如く菩薩摩訶薩、般若波羅蜜多を修行する時、一切法に於て都(すべ)て見る所無し。一切法に於て見る所無き時、其の心驚かず恐れず怖(おのの)かず。一切法に於て心沈没(ちんもつ)せず亦た憂悔(うげ)せず。

不安を感じていない時間を持つためには2

 考えなければ、悩まない。では、考えないためにはどうするか、というと……

 「覚めているけれど心が空っぽで何も考えていない」という意識状態になれるといいわけです。

 それが①を徹底したかたち、具体的には本格的な坐禅であることはいうまでもありません。

 当ブログでかつて「足の痛み・しびれは心配ありません:禅定の話 2」という記事を書きましたが、この記事は今でも多数の方に読んでいただいています。

 ちなみに、9月9日にはこの記事を中心に12404の記事を8259人が読んでくださいました。

 2005年8月20日にこのブログを始めてしばらくして、閲覧者数7千を超えてビックリしたことがありましたが、それ以来のうれしいビックリでした。

 その後も続けて、かなりの数の方が読んでくださっています。

 有難うございます。参考にしていただけて、とてもうれしいです。

 坐禅・瞑想をすると心が安らいでストレスが軽くなるのではないかという期待で、してみたいが「足の痛み・しびれが心配」で思い切ってやってみることができないという方や、始めてはみたが、やっぱり足の痛み・しびれがきつすぎて続けるのがつらい、続けられないという方が多いのでしょう。

 私の研究所の講座では、坐禅の場合も準備体操をして足の痛み・しびれが最小限になるようなご指導をしていますし、会場によって、イスでできる瞑想法もお伝えしていますので、「足の痛み・しびれが心配で」、ためらっておられる方、よろしければぜひお出かけください。

 しかし、とはいっても、心が空っぽ、さらには空(くう)というところまでいく本格的瞑想・坐禅はなかなか簡単にマスターすることは困難です。

 そこで、それよりは難易度は低いけれどもかなりの効果を期待できるのが、②にあたる数息観(呼吸を数えることに心を集中する瞑想)やマインドフルネス的瞑想(シンプルにただ呼吸を感じる瞑想)などで、こうした瞑想法もお伝えしています。

 どちらにしても、呼吸などに注意を集中できるようになると、その他の余計なことは考えない、つまり悩みを忘れている時間を作れるようになることはまちがいありません。

 もちろんどれも、それなりの練習は必要ですが、瞑想にストレス・不安の軽減の顕著な効果があること、いわばコストパフォーマンス=対労力効果は確実・十分であることは、いわゆる科学的なエビデンスによって保証されています。


*東京土曜講座の「不安の時代の心理学――なぜいまコスモロジー心理学か」は、次回、10月6日の第2回のみの参加も可能です。前回の簡単な復習――シンプルで楽な瞑想を含む――をして先に進みますから、この回のみご参加いただいても、十分、多くのヒントを得ていただけると思います。

不安を感じていない時間を持つためには1

 当研究所の講座プログラムは、「正しく適度な心配はするが過剰な不安に囚われず、やれることをやって、後は宇宙に任せる(受容)ことのできる心」を育み、危機の時代を生き抜く心備えを確立することを目指しています。

  そこで、まず不安を感じていない時間を持つ方法をお伝えしていくのですが、そのためにまず大筋として以下のポイントを押さえていきます。

 ① 心を空(「から」、さらには「くう」)にする:考えない

 ② 心を何かに集中する:余計なことを考えない

 ③ 大きな心になる:大きく正しく考える

 私たちは、熟睡したり気絶したりしている時は悩んでいない。というか、悩めません。

 それは、考えていない・考えられないからです。

 逆に言えば、考えるから悩む、考えなければ悩まない、ということです。

 ですから、悩みたくなかったら、考えないこと。

 とはいっても、パスカル風にいえば「考える葦」であることを運命づけられた人間は、ふつうふだん目が覚めている時は、あれこれと考えずにはいられません。

 だとしたら、どうすればいいのでしょう。

 次回の記事をお読みください。

不安への対処の3つのタイプ

 不安は、未来の危機への漠然とした想像から生まれる感情です。

 非常に不愉快な感情である不安をなくすための対処には、以下の3つのタイプが考えられるのではないでしょうか。


 ①想像・考えることをやめる:否認と気晴らし

 ②避けられないこととして受け入れる:あきらめ、受容

 ③心配し正しく認識し適切な対処法を探って行動する


  どんなに困難であっても決して対処不可能ではないことについては、否認やあきらめではなく、③の対処がもっとも合理的・適切な対処であることはいうまでもありません。

 しかし、対処にはかなりのエネルギー・意志・勇気が必要ですから、そのエネルギーをチャージするために一定の気晴らしをすることは、ある程度あっていいし、必要だとさえいえるでしょう。

 また、安易なあきらめは非合理的・不適切ですが、ほんとうに避けられない・運命的な出来事については、受容するほかありません。

 そして、受容することは、フランクル‐ロゴセラピー的にいえば「態度価値の実現」です。

 変えうることは変える、変ええないことは受容することについて、よく知られているのは、アメリカの神学者ラインホールド・二ーバー(1892–1971)の次の祈りの言葉です。

 神よ、私に、変ええないことは、それを受け容れる平静さと、変えうることは、変える勇気を与えてください。そして変えうることと変ええないことを見分ける知恵を与えてください。
 
O God, give us serenity to accept what cannot be changed, courage to change what should be changed, and wisdom to distinguish the one from the other.

*東京土曜講座の「不安の時代の心理学――なぜいまコスモロジー心理学か」は、次回、10月6日の第2回のみの参加も可能です。前回の簡単な復習をして先に進みますから、この回のみご参加いただいても、十分、多くのヒントを得ていただけると思います。

現代の主な7つの不安

 先日(15日)、東京土曜講座の「不安の時代の心理学――なぜいまコスモロジー心理学か」の第1回目を行ないました(*当日のメモに基づき昨日の記事を若干修正し、タイトルも変更しました)。

 その内容のポイントをご紹介しようと思います。

 まず、参加者のみなさんと現代の主な不安にはどのようなものがあるかを考え、筆者があげたのも含め以下のような不安があることが確認―共有されました。

 読者のみなさんは、どう思われるでしょうか。
 もちろんこれ以外にもいろいろあると思われますが、「主な」というとほぼこれだけなのではないでしょうか。もし、お気づきのことがあれば、ぜひコメントをください。


  現代の主な不安

 ①生活水準が保障されなくなるのではないか

 ②社会秩序が崩壊に向かうのではないか

 ③災害が巨大化するのではないか

 ④環境がますます悪化するのではないか

 ⑤戦争に巻き込まれるのではないか

 ⑥科学技術が行き過ぎてしまうのではないか

 ⑦人類は絶滅に向かうのではないか


 こうした不安に目をつぶらず、どう向かい合うか、が学びの課題です。

東京日曜講座のお知らせ

これもすでにお伝えした東京集中講座・日曜日のプログラムです。案内文を入れたチラシを掲載します。

16.03-07 東京・唯識と論理療法を融合的に学ぶ

*4月17日(日)はコスモス・セラピーの1日ワークショップに変更の可能性があります。予めご了承のうえ、お申し込みください。

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