大雪と都知事選によせて

運営委員長の岡野です。ものすごく久しぶりに書きます。

自民圧勝-安部首相就任以来の日本政府の方向性は、私の望むところとは非常に違っていて、いろいろがっかりすること続きで、記事を書くことにもいささかうんざりしていました。

今回の都知事選挙も、がっかり、うんざりの結果でした。

あまりに低い投票率は民主主義の未成熟の証拠であり、それでも投票に行った多数の関心は「景気と雇用」にあったようで、「エネルギー問題」は二の次だったようです。

無害化の技術のない原発-放射能廃棄物は、エコロジカルな持続不可能性の典型的な事例であるにもかかわらず。

日本をエコロジカルに持続可能な国にしたいという希望を共有してくださっているみなさんも、さぞがっかりされていることでしょう。

しかし筆者は、今年初めサングラハ教育・心理研究所の新年会で当会の顧問の大井玄先生――元国立環境研究所所長、東京大学医学部名誉教授、現在は老人とりわけ認知症の治療に携わっておられます――にお目にかかり、「認知症の方にはわかるまで何度でも同じことをお話しするのです」というお話をうかがって、「そうか!」とうなづかされました。

そこで、基本的には同じ話を伝わるまで繰り返すという努力を――自分の精神衛生に無理のない範囲で――再度続けようという気になりました。

日本人の多数を認知症扱いするのは失礼のようですが、こと環境問題の深刻さに関するかぎりほとんど認知症というか、少なくとも認知行動療法でいう「認知の歪み」という状態にあると思われます。

ここのところの記録的な雪は「今年はすごい雪だね」とか「○○年ぶり」つまり前にもこういうことはあったという話で済ませるべきものではなく、進行している気候変動という流れのなかにある現象だということを認知・認識する必要があると思われます。

つまり、温暖化→日本海などの海水の温暖化→大量の水蒸気を含んだ雲の発生→記録的な大雪、ということです。

かつて福田首相が洞爺湖サミットに際し、「環境問題待ったなし」という言葉としては正しい言葉を言っていましたが、その後、自民党政府-首相からは、そういう言葉さえも聞かれなくなりました。

もちろん、景気も雇用も、少子化も高齢化も、福祉も医療も、防衛、外交も問題です。

しかし、環境はそれら人間社会の営みが可能になる基礎の基礎であり、その基礎が揺らいでいるのが「環境問題」であり、その現われの一つが「気候変動-温暖化」ですから、「経済成長最優先」つまり環境問題先送りということで済まされる話ではないのです。

といっても、景気や雇用はどうでもいい、経済成長は必要ないと思っているわけではありません。

最優先ではなく並行的実行課題としての環境問題の解決につながるような経済成長は可能だと考えているのです。

経済-財政-福祉-環境そして経済…という好循環をもたらすような社会システムを構築することは可能でもあり必要でもあります。

そうしてこそ、待ったなしの環境問題にも対応できるのではないでしょうか。

そう考えている私たちからすると、現在の日本政府の発想・政策には決定的に「環境」の視点が不足していると思えます。

とはいって、安部首相が、景気の好循環をもたらすためには、企業が利益を内部留保せず労働者に分配することが必要であることを認識しており、財界に賃上げを要請したのは――その点に関しては――一歩前進だと評価することもできなくはありません。

現政府であれ、次世代の政府であれ、もう一歩前進して、「経済-財政-福祉」の好循環にとどまらない、「経済-財政-福祉-環境」の好循環システムの緊急な必要性への認知・認識が起こることを切に願わずにはいられません。